いじめについて、同盟と防衛戦略、人がいじめをやめられない理由、脳の働き

この記事は約10分で読めます。

いじめをやめられない理由

今回のテーマは「いじめ」です。いじめはいけないと遥か昔から言われ続けておりますが、なかなかどうして無くならないものです。言えば言うほど、悪化しているふうにも思えてきます。この記事では自分なりにどうすれば小学生、中学生~高校大学~しいては会社員に至るまで、どんなに努力しようが関係なくいじめが起こってしまう原因とその対策について考えてみたいと思います。もし現在いじめられている人は、これを読んで悲観しないでくださいね。必ず突破口は見えてきます。

(出典、参照:ヒトはいじめをやめられない)   

参考書籍としてTVで有名な脳科学者:中野信子先生の「ヒトはいじめをやめられない」を読んでみました。題名からしてギョッとさせられますが、だから打つ手がないと言っているわけではありません。そこは脳科学の分野から対応、対策を提言してくれています。人は本来弱い生き物です。ライオンやクマと戦って勝てる人などそうはいません。太古の昔から人はどうやって自分の身を守るかを延々と考えてきました。そこでたどり着いたのが、仲間を作り、グループを作りその中で生活することで少しでも生き残る可能性を上げようとしたんです。いわしの群れみたいなものかな・・・サメが襲ってきても、一部がやられている間に、大部分は逃げることができる。人の場合は集団で戦えば何とか追い返せるとか、知恵を出し合えば何とか防衛できるとか・・・一人の時より数段生き残る可能性が上がるわけです。もちろん熊だって反撃受けたくないでしょうから、一人でいる獲物を狙うでしょうし。それで、徐々に集団が作られ、社会が形成されていきます。そしてその社会を守るために様々なルール、規範が作られていくわけです。その集団を守ろうとする力、思い、考え、みなで団結しようとする力、集団を結束へ向かわせる力、中心へ集まろうとする力を向社会性と言います。よく言えばチームワークですね。しかしその向社会性が高まるとどうしてもはみ出てくる人が出てきます。一匹オオカミ的な場合もあるでしょうが、能力がなくて集団についていけない人もいるわけです。皆でチームを盛り上げていこうとしているのに、なんでこの人は、はみ出そうとするのかと感じ始めます。熊が襲ってきたときに、一人だけ剣をうまく扱えない人がいて、そこから崩れてこのチームが大打撃を受けるかもしれない。なんでこの人の為に皆が犠牲にならなければならないのか?不満が高まっていきます。この人はチームにとって、役に立たないのでは?いてはいけない人なのでは?追い出さなくてはいけない人なのでは?集団にとって、外敵より怖い存在は内部からその集団を崩壊させようとする人です。安心安全な集団に属していながら、その集団を維持しようとしない、協力行動を取ろうとしない、邪魔をする人、ズルをする人が集団にとって最も脅威であり、その集団、社会にタダ乗りしようとする「フリーライダー」と呼ばれる存在なわけです。それを許してしまえば、皆タダ乗りしようとして、社会や集団、チームのために出していた資源⁼リソースを出さなくなり、社会の崩壊へとつながりかねないわけです。集団が崩れれば、ライオンやクマに倒される事を意味しており、自分の安全保障に関わります。命に係わることですので、いじめる人は、正義感や使命感、皆のために、攻撃します。もうそれは太古の昔から続いていた集団を形成することで自分の安全を確保するという本能的な部分であり、遺伝子の中に刷り込まれています。

(出典:まいどなニュース)

いじめる人は、皆のために頑張って一人を攻撃します。周囲は追従していきます。もちろんいじめられる側は、いじめる側よりも弱い存在であることがほとんどで、いじめる側も反撃を受ける可能性の低いものを狙い、周囲の共感が得られやすい、はみ出している、能力が低い、背が低い、力が弱い者が標的となります。これは子供に限った話ではなく、大人の世界でもあります。子供のいじめに先生も加担していたという話もあります。本能的な部分の為、非常に気づきにくく、こんなやついじめられて当然なんだと思い、周囲の者は見ているだけでなく、加担すらしてしまいます。そんな周囲の期待に応えるべく、周囲から認められたいという承認欲求もあり首謀者はさらに攻撃を繰り返し、エスカレートしていきます。

もしタダ乗りをしていると思っている人が、法律を犯しているならば、警察が動き、日本の法律の下で裁判所で裁かれます。今いじめているあなたは警察でもなければ、裁判官でもないでしょう。ズルをし邪魔をし、人権を無視し、安心を壊し、攻撃を繰り返す。崩壊へ導くのは一体全体誰なのか、よく考えてみることです。このままでは、裁かれるのは「あなた」です。

いじめる=制裁を加えるのは本能で、特に子供は抑えがききません。それゆえ分別ある大人が正しい方向へ導いていかなければなりません。ただ口で教えるだけではなかなか聞かないものです。それでいじめが起きにくい環境を作っていくことも重要です。中野先生が言うには、人間関係を薄めて固定化せずいじめの標的となる人を作りにくくするとのことです。頻繁にクラス替えを行ったり、教科ごとにクラス分けを行ったり。狭い教室という空間に類似性の高い集団が長時間押し込まれているだけで、妬みや排外感情が起きやすい状態になります。集団生活に慣れていくべき学校という場も、そこに重いリスクがあるならば、変化していくことも必要かもしれません。また一人一人の個性を伸ばすことも重要だそうです。個性の違いは、いじめるべき相手を限定させないという意味において役に立ちます。逆に協調、連携、協力、団結といった言葉は大変良いことのように思えますが、それが表へ出すぎると、(集団が前へ出すぎると)個が後ろへ控えざるを得なくなります。そうなると自分の立ち位置を常に気にする者が増え、周りの空気を読み、出る杭はみなで叩き、はみ出し者は皆でいじめていきます。それを防ぐ意味でも、個性を伸ばすという意味で「ももクロ」というアイドルグループが良いと言われていました。5人のアイドルグループです。チームでありながら、一人一人の役割がきちんとあり、個の裁量が大きく、ライブでもすべてのメンバーが活躍できる場があり、理想的なグループであるとのことです。

(出典:マイナビニュース)

参考にした「ヒトはいじめをやめられない」という本には、いじめの原因や脳の仕組みからいじめを防ぐための様々な対策が書かれており、ぜひ学校の先生方には読んで頂きたい本です。

同盟と防衛戦略

のび太はジャイアンの保護国です。おもちゃや、漫画本など無理やり取られたりします。下手な歌も我慢して聞かなくてはなりませんが、間違いなく保護国です。支配されていると言ってもいいくらいですので、植民地?属国かもしれません。隣のクラスにいじめっ子がいて、のび太をいじめようと思っても、ジャイアンの手下というだけでそのいじめっ子は手が出せないものです。ジャイアンの強さはそのクラスを超えて影響を与えているわけで、地域覇権国といえます。「ドラえもんに休日を!」でありましたが、隣町の不良にのび太がやられている時に、ジャイアンがのび太を助けに入るシーンは感動です。まさに同盟関係であり、明文化されていない安保条約であり、集団的自衛権です。

(出典:ドラえもん「ドラえもんに休日を!」)

スネ夫が横にいますので、スネ夫の目も気にしたでしょうし、敵との戦力比較、国力比較、今後ののび太との関係性、国益になるか、世論、国民の決意、もちろん真の友人かどうかなど様々なことを検討し参戦を決意します。この件でのび太はジャイアンに感謝するでしょうし、ジャイアンとしては歌を聞いてくれ、小間使いとしてののび太の存在は今後も欠かせません。大国なりの思惑があるわけです。

いじめを防ぐには、同盟関係というのも重要なわけです。仲間を作るということですね。ただここまで力関係がある状態では、とても友人関係とは言い難いものがあります。言うべきことはきちんといえる関係でなくてはなりません。そのためにも、のび太自身強くなる努力が必要です。以前の記事でも書きましたが、格闘技を習ったり、筋トレしたり、ジョギングしたり、勉強を頑張るなど・・・自分自身を高めていきます。さすがにジャイアンと対等といかないまでも、その努力は伝わるでしょう。でもこのシーン、スネ夫結構かっこいいですね。素敵です。ジャイアンほどではないにしろ、スネ夫も大事です。自分を高め、仲間を作る。安全保障の基本です。ただひどいジャイアンから離れるなと言っているのではありませんからね。「歌いたいならもっと練習しろ」って言えるような仲になればいいですね。

やるべきことはまだまだあります。いじめられている状況をきちんと周囲の大人に説明することも重要です。国際社会や国連に訴えます。親や先生に言えば状況を見ながら適切に対応してくれるはずです。相手が本能で攻撃(いじめ)してくるのなら、こちらは理性(先生、親に言いつける)で対応です。相手がいけないことをいけないと理解出来ないのなら、分からせるのみです。パブロフの犬実験というのがあります。ベル鳴らして餌をあげます。だんだんその犬はベルが鳴るだけで、唾液が出てくるようになります。いじめると先生に怒られる。へこむ。これを繰り返すことで、いじめが自分の内申点に響き、将来に関わってくると教え込むのです。次の段落で書きますが、いじめる人はいじめることでただ、脳内ホルモンにより快感を得ているだけですから・・・その本能丸出しの連中にあなたが、ソビエトのノーベル賞生理学者イワンパブロフ博士となり、教え込んでやればいいのです。

どの先生に言うかでも、影響は違ってきます。担任にはもちろんのこと、ガタイのいい体育の先生がいいのか、学年主任がいいのか、相手が最も苦手とする人がいいでしょう。私の場合は中学の国語の先生が最も苦手でした。風貌は仁王像そのもの。習字セットを忘れたというだけで、忘れた人全員、廊下に立たせて、一人ずつ思いっきりビンタされました。どんどん自分の番が近づいてくるあの恐怖は数十年たった今も忘れません。しかしそういう絶大な影響力のある先生をもし味方に出来れば、これほど頼もしい存在はいないでしょう。親も引き込み、確実に進めます。

(出典:ザリバティWEB)

国家も大人も子供も一緒です。身を守るため、争いを防ぐため、いじめられない為、必死で行動を起こさなくてはなりません。

脳のはたらき

愛情ホルモンのオキシトシンは、相手への親近感や信頼感、安心感や幸福感などを感じさせてくれる、脳内物質です。男女ともに脳内でつくられ、絆や愛情、仲間意識など高めます。相手の目を見つめたり、肌を触れ合ったりといったスキンシップで作られます。しかし社会生活には不可欠なこのオキシトシンは、いい物質であると同時に「妬み」や「排外感情」も高めてしまう負の側面もあるとのこと。仲がいいグループほどいじめが起きやすいそうです。自然界では、子を守ろうとする母熊ほど恐ろしいものはいないと言われます。何となくわかる気もしますね。

(出典:TABI labo)

安心ホルモンのセロトニン。このセロトニンが多いと、人は安心感を感じ、リラックスし、満ち足りた気持ち、楽観的になるそうです。逆に少ないと常に不安になり、リスクを想定して慎重な行動を取るようになるそうです。これは国によって差があるそうで、だいたい日本人は慎重だというイメージは当たっていて、セロトニンの量も少ないようです。当然楽観的な感じのする米国人はやはり多いようです。それでこのセロトニンがいじめと何の関係があるのかというと、、慎重派が多く、リスクはなるべく減らそうという考えから、集団行動を重んじ、周囲の空気を読む傾向にある日本人は特に、集団からはみ出している者を見つけ出す能力「裏切者検出モジュール」が他の国の人たちに比べて強い傾向にあるようです。なぜ日本だけこのセロトニンが少ないのか?中野先生によると、農耕中心の平和な江戸時代が長く続いたため、日本人にとって生存適応戦略として慎重戦略を取ったとのこと。周囲の環境一つで脳の働きも変化するなら、初めに書いたように、いじめが起きずらい環境づくり、仕組みづくりというのが最も重要な解決のための手段かもしれません。

快楽物質ドーパミンも脳内神経伝達物質の一つです。快楽物質ですので、食事、性欲といったことと大きく関わってきますが、種を守るため、規範に背くものを罰するという「正義」の名のもとに行われる制裁時にも快楽物質であるドーパミンが放出されるようです。いじめる本人は自分は正しいことをしていると思い込み、行動を正当化します。同時に快楽を得て、周囲からの承認欲求もあり、同調圧力も手伝って攻撃がエスカレートし、相手を追い込み、過激化していきます。

あとがき

いじめは快楽です。ドーパミンが出るのなら、もう脳が、遺伝子が、本能が命令していると言ってもいいでしょう。それを抑えるのは脳の発達が未成熟な子供であれば、より難しいでしょう。

いじめられている友人が視線を向けてきて、視線をずらした経験をしたことは、皆、一度と言わずあるでしょう。皆悔しい思いはしてきています。どうすればいいのか、どうすれば身を守れるのか、人はずっと考えて、悩んで、泣いて、叫んで、打ちのめされて・・・今後もたぶん人は悩み続けるんだろうと思います。それでも一歩ずつ一歩ずつ。前へ進むことを諦めたらおしまいです。大人だって悩んでいます。決してあきらめないで!

参考/出典

ヒトはいじめをやめられない:中野信子著:小学館新書

ドラえもん:「ドラえもんに休日を!」:藤子不二雄:小学館

ウィキペディア

タイトルとURLをコピーしました