A2AD戦略について調べてみた。第一、第二列島線とは?アメリカの航行の自由作戦って???

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A2AD戦略について調べてみました。


接近阻止(A2)
アジア西太平洋海域で行われている軍事作戦に対するアメリカ軍の介入を阻止する為の戦略。主として地上基地を基盤とする兵力を対象とする。

領域拒否(AD)
第二列島線以内の海域においてアメリカ軍が自由に作戦を展開することを阻害する為の作戦。主として海軍力を基盤とする兵力を対象とする。

(出典:フランクリンジョセフキャンパーブログ) 中国が発表したイメージ図

少し難しいですが、設定した領域に入らせない、入りにくくする、入っても自由が利きにくい状態を作り出すことを目的とする。要は中国軍がアメリカ軍に対して、近寄ったら攻撃するぞという戦略です。当然近寄って欲しくないし、もし入ってきたら、航空機、機雷、ミサイル、潜水艦、水上戦闘艦艇による攻撃で一網打尽にする。その為の一連の準備や訓練などが着々と進行中です。2019年9月現在、米中は貿易戦争の真っ最中ですが、こういうことが出来る状態になったのも、中国が経済的に軍事的に、外交的に非常に力をつけてきており、アメリカ側も相当意識して来ているということです。中国はこれらの海域内でのリスクを高め、アメリカ軍に侵入することをためらわさせ、自分らに軍事バランスを傾けることが狙いです。

第一、第二列島線とは???

1982年中国最高指導者鄧小平が打ち出した中国人民解放軍近代化計画での概念
第一列島線:九州~沖縄~台湾~フィリピン~ボルネオ島
第二列島線:伊豆諸島~小笠原諸島~グアムサイパン~パプアニューギニア

(出典:己が誠と咲く山桜)

中国の考える海洋進出タイムスケジュール

1982~2000 中国沿岸海域の防備体制整備
2000~2010 第一列島線内部制海権確保
2010~2020 第二列島線内部制海権確保、空母建造
2020~2040 米軍による独占的支配を阻止。
2040~   米軍と対等な海軍建設

と以上のような計画です。遅れもあり、順調とは言えませんが、ゆっくりと着実に進めているといった印象です。

(出典: anh135689999.violet.vn )(DF-21D:対艦ミサイル)

DF-21D(射程1500km)の配備
2011年2月に環球時報が伝えた。対艦弾道ミサイル(ASBM)西太平洋における米国空母が対象と見られており、「空母キラー」と呼ばれる。中距離弾道ミサイル

南シナ海進出 南沙諸島に人工島を作り埋め立て、飛行場、衛星アンテナ、レーダー、港湾施設、ミサイル等軍事関連設備を次々と作っていることが報告されている。

(出典:ウィキペディア)

アメリカの動き、いろいろ思うこと

アメリカは認めないぞ!と言って、「航行の自由作戦」を実施しているわけです。南シナ海の該当海域にイージス艦やフリゲート艦、空母、爆撃機などをワザと航行、飛行させているのですが、中国側はそのたびに「強烈な不満、断固たる反対」を表明。また米軍艦艇に駆逐艦を異常接近させ追い払おうとしているわけです。更に対艦弾道ミサイルの発射実験なども行い、アメリカ側をけん制。米中両国、貿易戦争だけでなく、軍事面でも相当ピリピリさせています。この航行の自由作戦は、アメリカの呼びかけに応じて、英、仏、豪、カナダなどが参加している。

(出典:時事ドットコム)

もちろん中国からしたら、どうしても南シナ海、東シナ海、第一列島線内全て欲しいでしょう。周辺国はそれをどう抑えるかが重要です。軍事バランスというのが非常に大事で、一方だけが強い状態が続いたり、外交で弱い対応などをして、攻撃しても大丈夫な連中だと思われたりしたら、戦争になる可能性が高くなるわけです。一方が軍事力を付けてきたら、それに呼応して自分も高め、仲間を集め、抑止を効かせることが危機を防ぐことになります。外交で全て解決すればいいという方もいると思いますが、その外交ですら、軍事力の裏づけが必要です。アリが象に対して、「踏み潰すな」といくら言っても聞きませんが、アリが徒党を組み、顎を鍛え、毒まで装備したら、象は踏み潰すのを躊躇するはず?!です。これが軍事バランスであり、軍事力に裏付けられた外交力なのです。

(出典:防衛省)(1996年中国のミサイル演習)

中国からしたら、念願の海洋強国まであと一歩であり、1996年の台湾海峡危機でアメリカから屈辱を受けた借りを返すところまで来たわけです。あの時は米海軍の空母2隻に手も足も出なかったわけです。台湾の民主選挙を妨害しようとしたわけですから、中国のやったことは、とても認められませんが、ただ悔しかっただろうということは想像できます。あれから軍事費を増やし、順調に経済発展もしてきて、2018年、アメリカの69兆円にはまだ遠く及ばないものの、26兆円という日本の5倍という巨額の軍事費を計上しています。ちなみに1994年の中国軍事費は2.5兆円で、この25年で10倍に増えた計算。24年前米空母2隻に手も足も出なかった中国軍がいまや、空母も保有し、アメリカと互角に批判しあい、威嚇しあっています。

(出典:MONEY VOICE)

世界の軍事費についてはまた別の機会に述べたいと思いますが、いくらでも増やせばといいという問題ではありません。その国のGDP(国内総生産)に対する比率で見て○%という見方が一般的。国の経済がガタガタで軍事費だけ増やしても、国が傾くのは目に見えています。だから、GDPの比率でどの程度がいいのか、各国比較されます。ちなみに2019年現在、日本は0.9%、アメリカは3.1%、中国は1.9%ほどとなっています。

この中国のA2AD戦略、南シナ海の人工島の軍事拠点化によって、事実上中国の海になったと言われていますが、この中国の戦略に対してアメリカは、エアシーバトル構想、海洋圧迫戦略を打ち出してきました。このアメリカ側の戦略についてはまた、後日調査して書きたいと思います。

(参考:ウィキペディア、他)

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